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■フランスでも大人気の柿はビタミンCや食物繊維 の宝庫 ★秋が深まると思い出すのは故郷の風景だ。柿の実があかね色に変わると、木 に灯りが点ったように輝く。夕焼け空を背景にした柿の木は、子ども心にも せつなくなるほど美しく感じられたものだ。縄文や弥生の遺跡から種が出土 するほど古くからある柿は、日本の秋の風景と切っても切り離せないように 思われる。ところで、柿にはどんな健康効果があるのだろうか。 柿の栄養の特徴はビタミンCやカロテン、食物繊維などが豊富なこと。 「柿が赤くなると医者が青くなる」という諺どおり、柿にはいろいろな病気 の予防効果がある。とくに多いビタミンCは柿1個(約200g)に140mgと18歳以 上の人の1日の所要量(100mg)以上が含まれている。ビタミンCには、がんな どの生活習慣病や脳卒中などの循環器系疾患を予防する効果がある。 果肉が黄色いのはカロテノイドという色素が多いから。そのなかのひとつ、 β-クリプトキサンチンはがん予防効果が高いことで知られている。また、ア メリカの調査では慢性関節リウマチの発症リスクを低下させることも判明して いるという。日本人の患者数20〜30万人(30〜50代で発症)とされるこの病気の 予防にも柿はもってこいだ。 さらに、体内から塩分を排出する効果のあるカリウムの含有量も多い。干し 柿にすると1個(約70g)で所要量の2割が摂取できる。いま、とくに注目を集 めているのは、ラットに柿の粉末を与えると血中脂肪とコレステロール値が下 がったという実験の結果だ。柿には中高年の敵を封じ込める力がありそうなの だ。 さて、フランスやベルギーなどヨーロッパ諸国にも柿がある。フランスでは 秋になると市場やスーパーに並ぶ人気商品だ。名前は「KAKI」。もちろん、語 源は日本語だ。実が軟らかく熟したころ、半分に切ってスプーンですくって食 べるのが一般的だ。とろりとした舌触りと甘みが受けている。 種無しの甘柿で、産地はイタリア、スペイン、イスラエルなど。南仏でも取 れるが、実がすぐに痛むので流通には乗らない。日本では柿のパリっとした歯 ごたえが好まれるようだが、「所変われば味覚も変わる」というところか。 |
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