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■天日乾燥と機械乾燥――旨い米はどちらか!? ★いよいよ新米の季節がやってきた。今年の作柄は日照不足の影響で、全国 的に「平年並み」ないし「やや不良」とされている(8月29日農水省発表) ちょっと残念だが、この時期にしか味わえない新米の香りを楽しみたいも のだ。しかし、いつも気になるのは米の乾燥方法だ。最近は機械乾燥が多 いが、昔ながらの「はさ(ざ)掛け」の天日乾燥のほうが美味しいのだろう か。ちょっと調べてみた。 収穫直後の米(もみ)の水分量は20%以上で、品質低下を防ぐためには13〜 14%まで乾燥させる必要がある。はさ掛けには「太陽光線の遠赤外線がも みの内部を温めてじっくりと乾燥させる」働きがある。さらに、もみの外 側の水分は自然の風が飛ばしてくれる。やはり天日乾燥の鍵は遠赤外線の ようだ。 では、いまや収穫面積の95%を占めるという機械乾燥はどうだろうか。 米乾燥のメカニズム研究が進み、最近の機械の主流タイプは「遠赤外線乾 燥機」だ。8年前から市販されたもので、メーカーによっては8割ほどの 普及率になっているという。 この機械、太陽光の代わりに機械的に遠赤外線を発生させてもみを低温で ゆっくりと乾燥させて、排熱を利用した温風でもみの外側を乾燥させるも のだ。さらに進化して、サンルーム状の乾燥ハウスで太陽光を取り込みつ つ補助的に遠赤外線装置で乾燥させるものも出ている。 確かに、かつての米乾燥機は米の品質を低下させるという指摘があった。 水分25%以上の米を40度以上で急激に機械乾燥させると、米の水分量バラン スが崩れてひびが入ってしまうからだ。ひび米を炊くと、歯ごたえや艶が悪 くなるだけでなく旨みが米から流れ出してしまい味が落ちる。しかし、いま は機械の進歩でその心配はないようだ。さらに、品質のばらつきは少ない。 私は米どころで育ったので、通学の車窓から米のはさ掛け風景が見えた。 秋は意外に雨が多く、濡れて重みを増した稲束を見ては乾燥になるのだろう かと心配になったものだ。天日乾燥のネックはこのように天候に左右される ことだろう。米は40度以上になると品質が低下するが、最近は昔より収穫時 期が早まり産地によっては収穫後に夏日が続いたり、刈り取ったあとに台風 が来るなどということもあって天日乾燥にはリスクがともなう。 結論は、両者の味の優劣をつけるのは難しいということ。その程度まで 機械乾燥の水準は高くなっているからだ。天日乾燥の「こだわり米」と機 械乾燥の米、価格に差があるのだとすれば消費者の価値観で選ぶしかない ということだろう。 |
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