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■イチジクはカルシウムや食物繊維の宝庫だ! 子どものころ、庭にイチジクの樹があった。暑さとともに赤紫に熟してきて、 さあ採り時だと木に登ってみると目当ての実は既に鳥に突付かれていたり、熟 した実の蜜を狙ってスズメバチが寄ってきて大慌てて家に逃げ込んだりと、イ チジクは人間だけでなく鳥や蜂の大好物でもあった。 そんな争奪戦の理由を推量したレポートが、1998年に科学雑誌「Nature」に掲 載された。なんとイチジクのカルシウムが鳥や動物を呼び寄せているらしいと いうのだ。だから周囲にほかの果実が豊富にあっても、イチジクに寄ってくる のだという。カルシウムは鳥の産卵や動物の健康な成長に欠かせない栄養素で、 それをイチジクから摂取していると推察している。 さもありなん、イチジク100gには26mgもカルシウムが含まれているのだ(乾 燥イチジクには130mg!)。さらに夏は特に汗とともに失われてしまうカリウム やマグネシウム、ビタミンEも豊富だ。マグネシウムがあるとカルシウムは体 内に吸収されやすくなるので、その点でもイチジクはカルシウムを有効に摂取 できる食品というわけだ。 ほかにも、ペクチンやセルロースなどの食物繊維も豊富で、便秘予防だけで なくコレステロールの吸収や血糖値の上昇を抑えて高血圧症や糖尿病を予防す る。果肉の赤い色はアントシアニンで、活性酸素を抑えるのでがん予防効果も 期待できる。 また、たんぱく質分解酵素のフィシンが豊富なので、肉料理のにときは付け 合わせやサラダ、デザートに使っていただきたい。和食の魚料理には天ぷらが ぴったりだ。皮をむいて衣をサックリと揚げると、これが美味しい! 甘いのに後口がさっぱりとしていて、種のプチプチとした食感が独特の風味 を作るイチジク。買うときには実が大きくて皮に張りがあり、先が星のように 少し開きかげんのものを選ぼう。この夏は生だけでなく、料理の材料としても 使ってみてはいかがだろうか。 |
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