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■日本のしょうゆは5つある―――違いはなに? ★しょうゆは日本の伝統的な調味料だ。今では万能調味料として世界100カ国 以上で販売されている自慢の食文化だ。しかし、考えてみるとしょうゆのこと をあまり知らないのでは。そこでしょうゆの原料や製法、歴史を調べてみた。 しょうゆの主な原材料は大豆、小麦と食塩。蒸した大豆と、ほぼ同量の炒っ た小麦を砕いたものを混ぜ合わせ、麹菌を植え付ける。そこに食塩水を加えて 発酵・熟成させたものが「もろみ」。それをしぼったものが「生(き)揚げしょ うゆ」で、火を入れて殺菌や風味を調整するとしょうゆとなる。 ところで、日本のしょうゆは日本農林規格(JAS)で次の5種類に分類されて いる。 ●濃口: 大豆と小麦がほぼ同量の、スタンダードなしょうゆ。生産量の8割はこれ ●淡(うす)口: 色を薄くするために食塩水を1割程度濃くする。生産量の14%程度 ●溜(たまり): 小麦を非常に少なくして大豆の割合を多くし、1年間熟成させる ●白: 溜と逆に大豆は少なめに、小麦を多くして熟成は短め ●再仕込:食塩水の代わりに生揚げしょうゆを使う。2回醸造するような製法 これら5種類のしょうゆには割合はっきりとした地域性がある。濃口は関 東、淡口は関西、溜は東海が主産地だ。そして、白は名古屋が発祥、再仕込は 山口県を中心に使われている。食の好みが違っていることの現れだろう。 ここで、しょうゆの歴史をかんたんにたどってみよう。今の味に近くなった のは江戸時代の初期。当時の食文化の中心地は上方(大阪)で、うどんの汁など 町人たちの日常に欠かせないものとなっていた。江戸(東京)では文化・文政時 代になってからようやく、庶民の調味料となった。 今、海外でも人気の高い調味料となっているが、それは敗戦後にアメリカな ど欧米の占領軍の軍人やその家族がしょうゆの味を覚えて本国にも伝えたから だという。敗戦が日本の食文化を広めたのは皮肉なことだが、しょうゆが肉に も魚にも野菜にもあう優れた調味料だったからだろう。日本人をちょっと誇ら しい気持ちにさせてくれるものでもある。 |
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