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258栄養豊富な麩(ふ)を年末年始の食卓に
259冬は辛みパワーで健康維持と寒さ対策
260おせちの定番・かまぼこは胃腸に優しい低カロリー食品
261小正月には無病息災を祈って小豆粥を!
262冬は温かいお茶で健康成分を摂取しよう
263硬いものを食べて健康余命を延ばそう
264高脂血症予防に肝心なのは生活習慣の見直し



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■栄養豊富な麩(ふ)を年末年始の食卓に
麩は冬の料理によく登場する食材だ。正月の雑煮に入る花麩や飾り麩、煮物
に入る車麩や油麩。最近では鍋物や揚げ物にできる生麩も手軽に入手できるよ
うになってきた。多彩な用途に使える便利なものだが、どんなものか知らない
という人が多いのでは。そこで伝統食品の麩の製法などを紹介しよう。


 麩とは上質小麦粉のたんぱく質(グルテン)を主原料とする低カロリー食品
だ。消化吸収率は90%以上と非常に高い穀物加工品で、消化されると脳の発達
に欠かせないグルタミン酸になるという離乳食や成長期の子どもに適した食材
なのだ。麩は「焼き麩」と「生麩」に分けられる。焼き麩には車麩、かたどっ
て着色した花麩やまつたけ麩、小さな円筒形の小町麩、球状のマメ麩などが含
まれる。おいしさだけでなく、価格が手頃な点も魅力だ。

 麩の作り方は至ってシンプルだ。小麦粉を水で練って作ったグルテンと小麦
粉1対1に水を加えて約1時間熟成させる。そのあと、白くなるまで練り上げ
30分ほど水に浸して2度目の熟成をさせる。これをのばして焼くと車麩などの
焼麩になる。

 一方、加賀料理や京料理、精進料理などに登場する生麩はグルテンにモチ米
の粉を加えてゆでたものだ。日持ちがしないので、かつては一部地域でしか食
べられなかった。ちなみに、生麩のルーツは江戸時代中期の加賀藩主前田家の
料理といわれている。今は麩まんじゅうなどの和菓子としてお目に掛かること
が多いかもしれない。

 さて、栄養豊富で保存も利く焼き麩の特徴は地域色の強さだろう。麩は台風
襲来時に生鮮食品が手に入りにくかった沖縄や、雪に閉ざされた東北や北陸の
貴重なたんぱく質補給源だった。そのため、今でもこの地域では麩の消費量が
多くなっている。地域限定では宮城の県北地方の油麩(麩を植物油で揚げたも
の)、山形県の板状になった庄内麩、山口県の丸餅状の安平(アンペイ)麩な
ど、形も食感も様々な麩が作られている。

 今、麩は健康志向で人気が出ている。ダイエット食としても知られてきたか
らかもしれない。焼き麩なら保存も利くので常備してはいかがだろうか。ごち
そう続きの年末年始には、さっぱりとしたマメ麩の酢の物(野菜と一緒に甘酢
につける)もおいしいものだ。また正月料理にも、正月休み中に体重オーバー
したときの“救世主”としても使える。