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■老いも若きもサツマイモで健康に ★江戸時代の飢饉、戦中戦後の食糧難から民衆を救ってきた“準完全栄養食 品”と呼ばれるサツマイモ。今が収穫の盛りで、各地から新物が続々出荷され ている。秋の味覚の代表格ともいえるサツマイモは近年、デパ地下の人気ス イーツなどになってオシャレで健康的な食べ物として人気を集めている。女性 たちの心をつかんだその魅力とは? サツマイモの原産地はメキシコを中心とする熱帯アメリカとされる。紀元前 2000年ころに南アメリカに伝わって、コロンブスがヨーロッパに持ち帰って世 界に広がったようだ。日本へは中国南方諸島から、1597年に宮古島に持ち込ま れたのが最初だったという。 その後、沖縄、南九州と栽培が広がっていった。関東へは江戸時代中期に青 木昆陽が救荒作物として薩摩藩から導入して飢饉を救うのだが、江戸時代後期 には10aあたり1500kgも収量があった。驚くべきことに、これは農業技術の発 達した現在とほぼ同じ水準だ。 栄養価が高いこともサツマイモの特長だ。主成分はデンプンだが、ビタミン やミネラル、セルロースやペクチンといった食物繊維をバランスよく含んでい る。サツマイモと一緒にたんぱく質と脂肪を補給すれば理想的な食事になるの で、“準完全栄養食品”と呼ばれているほどだ。 女性が注目する機能性といえば、サツマイモを切ると出る白い液ヤラピンの 便通改善作用があげられる。腸内のビフィズス菌を増やす効果もあり、腸内環 境を整えるには適した野菜だ。血液中のコレステロールを低下させる、血糖値 をコントロールする働きもあるので、動脈硬化や糖尿病予防にも効果がある。 また、ビタミンEには老化現象の要因となる過酸化脂質が体内にできるのを抑 える働きがある。実は中高年にこそサツマイモ、なのだ。 さらに、ビタミンCの含有量はジャガイモより少ないが、蒸すとジャガイモ を上回る美容食になる。Cは細胞の結合を強化するコラーゲンの生成を助ける ので、美肌効果が期待できる。意外なことだが、皮にはカルシウムが肉質部分 の5倍も含まれている。皮ごと食べれば、カルシウムの補給源としても有効だ。 最近のサツマイモ人気の高まりで、鳴門金時(徳島)や、五郎島金時(石 川)、安納こがね(鹿児島)など地域色のあるイモや、青果用の紫芋などがた くさん出回っている。この秋は、個性派サツマイモも召し上がってみてはいか がだろうか。 |
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