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■ピーマンのルーツをさぐる ★夏野菜の代表の一つにピーマンがある。今では食卓に定着した野菜だが、 1970年代以降の食の欧米化がきっかけで家庭料理に使われ出したもの。しか し、日本に入った時期は意外に早かったようだ。今回はピーマンの歴史をたど ってみたい。 ピーマンはナス科トウガラシ属の一年草で、原種はトウガラシ。今はピーマ ンとトウガラシを分けて考えているが、じつはルーツはまったく同じものだ。 原産地はトマトやジャガイモと同じ中南米。15世紀の大航海時代にスペインに 伝わり、その後ヨーロッパ経由で日本に伝来した。 そのルートには2つの説がある。1544年にポルトガル人が豊後の大友宗鱗に 伝えたとする説と、1620年に仙台藩・慶長遣欧使節団を率いた支倉常長がロー マから持ち帰ったとする説だ。その時代に伝わったものは「辛み種のトウガラ シ」で、江戸時代には野菜として食べられていたという。現在栽培されている トウガラシの先祖だ。 一方、いま私たちが食べているピーマンは明治初期にアメリカから入ってき たものだ。ヨーロッパからアメリカに伝わったトウガラシを品種改良して、辛 みのない野菜に変身してやってきた。つまりピーマンとは、大型果実をつける 「甘み種のトウガラシ」の総称なのだ。イギリスでは「スイートペッパー」と 呼ばれていたこともあって、日本では当時「甘トウガラシ」と呼んでいた。 しかしそ の後、フランス語のピメント(意味はトウガラシ)が転じてピーマンと呼ばれる ようになったようだ。 ところで、ビタミンCはピーマンから発見された。それほど豊富に含まれて いるだけでなく、熱に強いので夏の紫外線対策に適している。大きめのものを 3個食べれば1日のビタミンC必要量が満たせる。 最近、主婦の人気を集めているピーマンは「グリーンザウルス」(品種名「み やざきグリーン」)だ。肉厚で歯ごたえがよいだけでなく、日持ちするという特 長があるから。生まれ故郷は、ピーマンの生産量第2位の宮崎県(ちなみに1位 は茨城県)。日照時間が多いので、食品成分表と比較するとビタミン類の含有 量が多いという。ピーマンの品種や産地など気にも止めなかったが、店頭で手 に取るときにちょっと気にすると食への興味がわいてくるかも。 |
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