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■トウモロコシがスイートコーンと呼ばれる訳は? ★トウモロコシが旬を迎える。子どものころは夏休みのおやつだったのにいま は青葉の頃が出盛りだ。それにも増して大きな変化は、店頭からトウモロコシ という名が消えつつあること。今やスイートコーンと呼ばれて売り場に鎮座し ている。 同じものなのに、どうしてこんなことになったのか?トウモロコシには飼料 用など用途に合わせていくつかの品種がある。じつはスイートコーンというの は「甘味種」という食用・加工用品種の商品名なのだ。 トウモロコシは半世紀で糖度が倍以上になった唯一の農産物。種苗会社が消 費者の好みに合わせて甘い品種を育成した成果といえる。そこで甘さをアピー ルした商品名を考えた。 当初は分かりやすく「シュガーコーン」という名前が候補に挙がったが、「砂糖 じゃないのにシュガーはまずい」ということに。そこで甘みを強調してスイート コーンに決まったそうだ。その商品名が次第に定着して、今やトウモロコシ= スイートコーン。実際、青果用に出回っている品種はほぼ100%甘味種のスイー トコーンになっている。 スイートコーンは戦後に米国から導入され、昭和30年代に盛んに栽培される ようになった。では、その前に食べていたのはどんな品種だったのだろう。石 川啄木が「しんしんとして幅広き街の 秋の夜の玉蜀黍(とうもろこし)の焼くる にほいよ」と詠んだのは「硬粒種」という品種だった。飼料用にもなるフリント コーンと呼ばれるもので、甘味が少なかったので醤油や砂糖で味をつけて焼く という知恵が生まれたようだ。戦前まではトウモロコシといえばこのフリント コーンで、動物も人間も同じものを食べていたわけだ。 ところで、トウモロコシには食用や飼料用以外にも品種がある。面白いのは 「爆裂種」だ。字の通り、爆発して破裂するもの。これはポップコーン専用の皮 が硬い品種で、水分が約20%になるまで畑で乾燥させてから収穫する。温める と粒の内部の水分が水蒸気になり、その圧力で勢いよくはじける“根っからの 暴れん坊”だ。 さて、旬を迎えたスイートコーンをおいしく食べるには買ったらすぐにゆで ること。沸騰した湯に塩とコーンを入れ、再沸騰して2分ほどで取り出そう。 ゆで過ぎは香りとうまみを逃がしてしまうのでご注意を。 |
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