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230台頭する「食のナショナリズム」と自給小国・日本
   の米作りの関係は?

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■台頭する「食のナショナリズム」と自給小国・日本
  の米作りの関係は?
 
 ★今、米の輸出国が相次いで輸出禁止や輸出規制措置をとっている。世界の穀
物の期末在庫は、食糧危機といわれた1970年代前半を下回る危険水準に入って
いる。米を主食とするアジアの途上国には「アグフレーション」(農産物価格の
上昇が主導する物価上昇)の危機が迫り、現代の「米騒動」が勃発しつつある。
このような状況の中でも、日本は米の生産調整を続けているのはなぜか?


 米の輸出世界第2位のインドは、今年2月に白米の輸出を禁止した。第3位
のベトナムはすでに昨年夏から輸出規制に踏み切っている。第1位のタイでは
国内の米価格の急騰で輸出用の米が集まらなくなっている。中国やエジプトな
どの主要輸出国も輸出税を課すなどして輸出削減にシフトしている。自国の胃
袋を最優先した「食のナショナリズム」の姿勢の明確化だ。

 背景にあるのはバイオ燃料需要などによる国際米相場の急騰だ。4月初旬に
は、指標となるタイ米の輸出価格が1週間で1トン当たり170ドル、1カ月で
ほぼ300ドルの「棒上げ状態」に。そのため、米を主食とするアジア諸国では国
内の米相場まで高騰して安価な政府配給米の手当がつかない状態になった。さ
らに、米価上昇によるインフレも急激に進んでいる。

 このように国際社会は米不足にあえいでいるが、日本ではどうか。高齢化な
どで国内需要量は毎年9万トンベースで減少しており、米余り状態にあるので
今まで通りの生産調整を継続するというのだ。2008年産米は作付けを前年より
10万ヘクタールも減らさないといけないという。

 日本は現在100万トンの米を備蓄しており、そのほかにミニマムアクセス
(最低輸入機会)米として77万トン(うち約10万トンが主食用)を輸入してい
る。米が逼迫する国があるのに、余っていても買わねばならないシステムがあ
るのだ。では、安定した生産力のある日本も輸出すればいいのではないかと考
えるが、価格の壁がたちはだかっている。日本の米は短粒米の国際相場より1
トンあたり10万円程度高いのだ。

 アジアの貧困層が米不足で危機的な状況におかれている。片や、自給率向上
を緊急課題としている日本では米の作付けを減らして耕作放棄地を増やし続け
ている。何やら割り切れない話である。国際貢献につながる食糧生産のあり方
を探っていけないのだろうか。