バナー


230台頭する「食のナショナリズム」と自給小国・日本
   の米作りの関係は?

231IPA豊富なくさやは血管の病気を防ぐ!
2321日のパワーは朝食で!
233トウモロコシがスイートコーンと呼ばれる訳は?
234蒸し暑い時期のコメのおいしい保管法―野菜室がベスト!
235旬のレタスは加熱でたっぷり
236思考を修正してストレスから脱却



   BACK目次
       NEXT  目次   
        
 
■IPA豊富なくさやは血管の病気を防ぐ!
 
 ★伊豆七島の名産品の「くさや」は、新島が発祥といわれる伝統の味だ。江戸
時代から伝わる技と海からの恵みが凝縮した、日本が誇る発酵食品といえる。
ビックリするほどくさい不思議な干物・くさやはどうして生まれたのだろうか。


 伊豆七島とくさやの関係は、江戸時代の歴史を抜きにしては語れない。幕府
はこの地で作られる塩を上納させていたが、取り立てが大変厳しく作っている
庶民も自由に使うことはできなかった。島では塩は貴重品で、新鮮な魚を保存
するための干物づくりにも同じ塩水を繰り返し使うほかなかった。そのため、
塩水に魚のエキスがとけこんで「くさや汁」ができたと考えられている。

 このくさや汁には塩分だけでなくアンモニア、硫化水素、酪酸なども微量だ
が含まれている。そのため腐敗しにくく、熟成した独特の風味やにおいを出す
。しかし、最も特徴的なのは微生物が多いことだ。つまりくさや汁はぬか床の
ような発酵食品なのだ。だから、温度を一定に保ち、かき混ぜ、使わないとき
にでも微生物のエサとして魚の内臓などを与える。管理もぬか床と非常によく
似ており、手間暇をかけて育てる生き物だといえる。

 このくさや汁に、内臓を取って血抜きした魚を一昼夜ほどつけ込む。取り出
したら水洗いして乾燥させる。かつては天日乾燥だったが、今は季節に関わり
なく生産できる機械乾燥が多いようだ。原料は主に脂の少ないアオムロアジが
使われるが、トビウオやムロアジ、サバなどでも作られている。今ではまろや
かな風味で人気がある高級干物だが、明治時代の終わり頃までは質の悪い干物
扱いだったというからおどろきだ。

 伊豆七島のくさやは近海でとれた新鮮な魚を使うからこそおいしくできる。
まさに地域に伝わる伝統食だ。動脈硬化や高血圧などの血管の病気を予防する
IPA(イコサペンタエン酸)が豊富で、血管を広げて血流をよくしてくれる健康
食でもある。においがきついので、集合住宅では焼くのに気が引けなくもない
が、ぜひとも焼きたてをお試しいただきたい。ビックリしますよ!