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216“ビタミン充実野菜”カブで免疫力を強化しよう!
217米や野菜のうまみを引き出す土鍋で、料理をもっと
      おいしく!

218 2008年は国連が制定した「国際ポテト年」―
      その意味は?    

219定期健診で肝臓病を早期発見・早期治療しよう!      
220 キウイフルーツは栄養素の宝庫   
221姿勢を矯正すると疲れにくくなる!
222よく噛むと大脳の神経細胞が活発になる



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■2008年は国連が制定した「国際ポテト年」―
  その意味は?
今年は国連が定めた「国際ポテト年(International Year of Potato)」だ。
 奇妙な「国際年」だと思われるかもしれないが、ジャガイモは世界4大作物(ト
 ウモロコシ、小麦、米、ジャガイモ)のひとつ。栄養にすぐれているうえに、
 荒れ地でも育つ救荒作物の筆頭でもある。


 今後20年間、世界の人口は途上国だけでも毎年9500万人ずつ増加するといわ
れていることを考えると、ポテトは“人類の救世主”という位置づけができる
作物だ。

ジャガイモは肉じゃがなど日本の家庭料理にもよく登場するが、原産地は南
米の高地。インカ帝国の繁栄を支えたのは、栄養価が高く貯蔵性のよいジャガ
イモだったとさえいわれている。その後、大航海時代にヨーロッパに持ち込ま
れる。

 当時、壊血病(ビタミンC欠乏症)に苦しめられていた冬の長い北ヨーロッパ
の人々は、壊血病予防に効果があることを経験から学んでいく。こうしてジャ
ガイモはビタミンC豊富な越冬野菜としてその真価が認められ、栽培が増えて
いく。

 さらに冷害にも強く、戦乱によって地上部が踏み荒らされても収穫できる点
も大きな魅力だった。やがてジャガイモは貧しい農家の主食となり、“貧者の
パン”と呼ばれるようになる。

 いかにも途上国の人々を救えそうな歴史をたどったジャガイモには、各種ビ
タミンやミネラルがバランスよく含まれている。卵と組み合わせれば、ほとん
ど完全な栄養になるとさえいわれている優秀な作物だ。

 実際、毎年世界で収穫される3億1500万トンのうち半分以上の1億6200万ト
ンが途上国での栽培だ。国連が「国際ポテト年」を創設したのは、ジャガイモの
栽培量をもっと増やして栄養失調対策に役立てることがおもな目的だ。

 同時に、病原菌に強い品種の開発の起爆剤にしたいというもくろみもある。
19世紀半ばにヨーロッパ全域でジャガイモの疫病が大発生して、ジャガイモを
主食にしていたアイルランドでは100万人以上が餓死したといわれている。こ
のような悲劇の再来を防ぐ研究の進展が急務でもあるからだ。

 日本でもシンポジウムが開かれるなど、地味ながら「国際ポテト年」の取り組
みが行なわれている。今後10年間に、世界のジャガイモのほとんどがアジア、
アフリカ、中南米で生産されると予測されているなか、日本にもこれらの地域
での飢餓解消に役立つ研究開発面での貢献などが求められている。