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■農作物に異変!地球温暖化で食卓や家計は どうなる? ★各地の農業生産地を回っていると、気温の変化の影響を目の当たりにする。 昨年の年末、愛知県の日本一のキャベツ産地に行った時には暖かさで育ちす ぎたキャベツをトラクターでつぶしている真っ最中だった。茨城の農家では、 大根がとれすぎて2月の畑に太い大根が放置されていた。最近の異常気象は 私たちの食卓にどのような影響を与えているのだろうか。 少し前、家庭用植物油の価格上昇の影響で食用油やマヨネーズが値上がりし た。家畜用輸入飼料(トウモロコシ、大豆、小麦)も急騰して肉や牛乳、卵の生 産者は悲鳴を上げており、価格に跳ね返るのは避けられそうもない。「遺伝子 組み換えでない飼料がほしい」などという生産者の要望はもはや叶えられる状 況にはない。 菓子に欠かせない砂糖も値上がりしそうだ。急騰の理由は、地球温暖化対策 でバイオ燃料生産に拍車がかかり、穀物が車に奪われているから。 それだけではない。私たちの口に直接入る野菜や果物も大きな変化に見舞わ れている。台風は秋にやってくるという常識はもはや通用しない。最近は初夏 から夏にかけて大型台風がやってきて、収穫間近の畑は冠水して野菜は全滅。 かつては梅雨がないといわれた北海道もジメジメ天気が続いて日照不足になり、 生育不良や害虫に悩まされる。長年培ってきた農作業の勘や技術が通用しなく なっているのだ。 病害虫の被害にも変化が見られる。日本にはいないはずだった害虫が宮崎で 見つかる、沖縄や鹿児島に生息する害虫が福岡で大発生する、西日本で多い害 虫が東北で大発生する、など害虫の北上は止まらない。さらにここ10年ほど、 南方系の魚・サワラが青森で水揚げされているし、りんごやブドウなどの果樹 が色づかない高温障害が各地で見られるなど、食にまつわる異変には枚挙の暇 がない。 もちろん、これらが温暖化の影響だと断定はできない。しかし食料の生産に 携わる人たちの「何だかおかしい」という声を聞くにつけ、地球は大丈夫だろう かという不安が頭をかすめる。やはり私たちがCO2の排出量を減らさねばなら ない。 同時に、CO2を吸収して酸素を供給する農地が温暖化防止に果たす役割に期待 したい。現在の農業は化石燃料を大量に消費する業種であっても、だ。農家が 耕作放棄をすれば国土の荒廃につながる。農業を活性化しないと、地球環境は もちろん私たちの食卓や家計も危うくなるだろう。 [参考]バイオ燃料の原料 エタノール → サトウキビ、トウモロコシ、タピオカ、小麦 ディーゼル → 大豆、菜種 |
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