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■緑茶は輸出の優等生――健康・自然志向で海外で 人気上昇中 ★もうすぐ八十八夜。新茶がでまわるうれしい季節の到来だ。お茶で客をもて なす日本の伝統は、家庭だけでなく外食産業でも続いている世界に誇れる文化 だろう。多くの外国人は、食堂で無料のお茶を出すのが日本の習慣だと知ると 驚く。そして、そのおいしさで緑茶ファンになる人も増えている。緑茶の年間 輸出量も増加しており、2007年は1,625トン(前年比3.1%増)となった。お茶は 農産物輸出の優等生ともいえる伸び率だ。 近年、欧米で開催される農産物展示会でも緑茶が人気を集めている。背景に あるのは健康や自然志向だろう。「日本食はクール(かっこいい)」なだけで なく低脂肪・低カロリーで注目を集めているのと同様に、緑茶はコーヒーや紅 茶に比べ、1杯あたりのカフェインが少なく、その作用もおだやかに働くため ナチュラルイメージが定着してきている。また、発酵させないのでフレッシュ なイメージもあり、消費の伸びを後押ししている。ニューヨークでは煎茶、ほ うじ茶を急須でいれる店は物珍しさも手伝って評判になっているそうだ。 さらにアメリカでは、緑茶の健康効果が報道されてから知名度が上がった。 カテキンにはがんや痴ほう予防、血糖値や血中コレステロールの上昇を抑える 働きが、アミノ酸にはリラクゼーション効果があるとされているからだ。ただ し、緑茶は抽出しても摂取できる有効成分は30%程度。βカロテン、ビタミン E、食物繊維など水に溶けにくい成分は茶葉に残ったままだ。成分を丸ごと摂 取できる抹茶で飲むとよいだろう。栄養分がたっぷりと残った茶殻はおひたし にするとおいしくいただける。新茶ならなおさらだ。 ところで、日本国内でも健康志向を追い風に緑茶ドリンクの需要が拡大して いる。食の安心・安全から国産茶葉の需要も増える一方だ。しかし、日本一の お茶どころの静岡県では高齢化による廃園などで生産量が減っている。逆に伸 びているのは九州だ。生産量第2位の鹿児島県では静岡に追いつこうと増産に むけて園地を増やしている。 今、緑茶が面白い。日本人がごく当たり前に飲んできた緑茶が、いれかたも 含めて文化として海外で受け入れられていくのはうれしいことだ。日本食と緑 茶の組み合わせが、フランス料理とワインのように「世界のスタンダード」に なる日も近いかもしれない。 |
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