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■錦繍(きんしゅう)を愉しむ 寒露(10/9)も過ぎて、山の木々も色づき始める頃となった。北国や標高の高 い山から紅葉前線が下りてきて、秋が深まるにつれて鮮やかな彩りを披露して くれる。光合成が停止して葉が色づき始めるのは、明け方の気温が8℃以下に なる時期。さあ、燃えるような錦繍の到来はもうすぐだ。 まずは待ち遠しい「紅葉前線」について。桜の開花日が標本木の咲き初めで あるのに対し、こちらは標本木(イロハカエデ)の葉のほとんどが色づいたと きを「紅葉日」としている。つまり、紅葉前線はちょうど見ごろの時期をさし ているのだ。しかし、その期間は3日程度と非常に短いのが難点。 では、紅葉前線が進むスピードはどのくらいだろう。平均1日27km(時速 1.1km)と比較的ゆっくり南下するといわれている。今年は例年通り、9月 初めには北海道・大雪山系の旭岳(2,290m)で日本一早い紅葉が始まっており、 紅葉前線は確実に私たちの住む町に近づいている。 ところで、錦織りなす山並みの色合いは年によって違っている。美しい年も あればやや残念な年もあるが、それは秋の日照時間と夜間の気温に左右される からだ。葉が太陽光線を十分に浴びると赤の色素(アントシアニン)がたっぷ りと作られるし、夜間の気温が下がるほど緑の色素(クロロフィル)の分解が よく進んで、赤だけでなく黄の色素(カロチノイド)が引き立ってくる。 昔から日本人は紅葉が大好きだった。万葉集や百人一首にも「もみぢば」や 「もみぢ」が数多く詠まれているが、現代人の私たちにも秋の風情に心奪われ る遺伝子が組み込まれているように思える。10月も下旬になると天気も安定し て絶好の紅葉狩り日和になる。山や公園に出かけて木々の秋色の演出を愛でよ う。 |
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