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■栗を食べるなら渋皮まで食べよう! 昨年は冷夏で不作だった栗が、今年は順調に生育して出荷のピークを迎えて いる。栗といえば、昔から日本人には欠かせない木の実だった。縄文時代には 大切な食料だったし、平安時代には乾燥させて皮をむいた「かち栗」に加工して 保存食にしていた。戦国時代になると「勝」に通じるとして縁起物に、そして昭 和20年代までは一部の地方で米の代用食とされていた。栗は日本人の暮らしに 密着したものだったが、今ではおこわや和洋菓子として秋の恵みを感じさせる ものとなった。 しかし、栗は季節感を楽しむだけのものではない。漢方では非常に優れた薬 効を持つ食べ物の代表とされているのだ。腎臓の機能を向上させたり下痢の症 状緩和に、脚や腰が弱った高齢者の回復作用、血液循環を改善したり胃腸を丈 夫にする働きもあるとされている。ヨーロッパではゆでた栗をぜんそく治療に 用いていたし、日本の民間療法では咳止めとして栗の葉を煎じて飲んでいた。 このように栗は昔から健康に役立つものとしても食されていた。でんぷんが 主成分なので栄養価は期待できないと誤解されがちだが、肥満防止作用のある ビタミンB1が非常に多く、ビタミンA、B2、C、ミネラル類も多い。特に今、 注目されているのは嫌われもの「渋皮」のタンニンだ。抗酸化作用でがん予防の 効果があることが分かり、渋皮ごと食べればむき栗では得られなかった栄養効 果まで期待できるのだという。 では、あの渋皮を抵抗なく食べるにはどうすればいいのだろうか。おすすめ は揚げ栗。3分ほどゆでて鬼皮(外側の硬い皮)をむいて、渋皮のついたまま油 で中に火が通るまで揚げて塩を振るだけなのだが、渋皮独特の香りが栗の甘み と良く合う。買ってきた栗がハズレというときでも、この方法ならおいしく頂 ける。口の中で渋皮がパリパリと崩れる食感はなかなかのもの。おやつや酒の つまみにぴったりだ。栗ご飯やゆで栗、きんとんもおいしいが、新栗は渋皮ご と食べてみよう。 |
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