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■木綿と絹はどう違う?−豆腐のはなし 食欲がない時でもおいしい豆腐は日本が誇る健康食品だ。海外でも人気があ り、主要都市のスーパーでも「TOFU」が手に入るようになった。日本の伝 統食の真価が認められたのは嬉しいことだが、私たちの豆腐に関する知識はと いうとそれほど多くないのでは。とういわけで、今回は豆腐の話題。 豆腐は中国生まれの日本育ち。奈良時代に遣唐使から伝えられたが、その頃 は僧侶や貴族の食べ物だった。庶民の口に入るようになったのは江戸時代半ば になってから。豆腐料理の本『豆腐百珍』『豆腐百珍続編』『豆腐百珍余禄』 がたて続けに発刊されて豆腐人気に火がつき、全国に普及していった。現在で は、中国の豆腐とは違った日本独特のなめらかで繊細な味のものとなった。 さて、豆腐は豆乳をニガリなどの凝固剤で凝固させたものだが、のど越しの 良い「絹」も豆の風味がある「木綿」も原料は全く同じだ。食感にあれだけの 差が出るのは、製法の違いにある。木綿は温かい豆乳にニガリを入れて一度固 め、それを崩して綿布を敷いた型に入れて重石をかけて水抜きする。 一方、絹は豆乳にニガリを入れて加熱して布を敷かずに型に入れ、固まった ら出来上がり(絹でこしている訳ではない)。水抜きの工程がある分、木綿の ほうが大豆を多く使うので香りや味わいが濃厚になる。あるメーカーでは60キ ロの乾燥大豆から絹なら約600丁、木綿なら約520丁を作るそうだ。 ところで、ニガリが入った豆腐なのにほんのりと甘いのはなぜだろう。それ は出来上がった豆腐を30分〜1時間程度水にさらす段階で、浸透圧によって塩 分や苦味が水に流れ出るから。この過程で豆の風味がさらに引き立つ。豆腐は 必須アミノ酸が豊富な大豆の栄養を損なうことなく加工した、消化吸収率98% の理想的な生鮮食品だ。さあ、今晩は旬の薬味で冷や奴といこう。 |
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