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■泳ぐ二枚貝ホタテ 暑い季節には程よく冷えたホタテはおいしいものだ。ホタテガイは北日本の 貝の代表格で、冷たい海水の中でゆっくりと身を太らせる二枚貝。養殖技術が 進んで一年中食べられるようにはなったが、オホーツク沿岸では7月から12月 ごろまでが収穫期だ。今回は「生でも、焼いても、煮ても良し」のプリっとお いしいホタテの生態や栄養を紹介しよう。 さて、驚くなかれ、図体の大きなホタテは素早く移動できる貝だ。海底で外 敵のヒトデが近づくと一気に数メートルも跳んで逃げ出すという、二枚貝では 唯一の技を持つ。秘密はあの大きな貝柱(閉殻筋)にある。強力な筋繊維の貝 柱が貝殻を瞬間的に閉じて、中に入っていた海水を噴出して跳ぶのだ。 では、外敵が近づいたことはどうやって察知するのだろう。実はホタテには 目がある。私たちが「ヒモ」や「耳」と呼んでいる外套膜(がいとうまく)に ある小さな黒い点がそれ。上に50個、下に28個の目で周りをしっかり監視して いるという訳だ。 こうして身を守りながら成長したホタテは、数年後には引き上げられて食卓 に並ぶことになる。北の海の豊富なプランクトンを養分に育っただけあって、 旨み成分のグリコーゲンが非常に豊富でまさに「味の王様」。貝柱は消化の良 い良質なたんぱく質で、近年では制ガン作用のある糖タンパク質が見つかって いる。また血圧降下作用のあるタウリンも豊富で、生活習慣病が気になる中高 年にはぴったりの貝だ。 夏は貝毒を心配する向きもあるだろうが、産地では検査体制を整えているの でかつてのような心配は要らないだろう。ホタテは和・洋・中華とどんな料理 にも合うので、食欲が落ちる夏向きのメニューも多い。酢との相性も抜群なの で、夏の健康管理に役立てよう。 |
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