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■手ぬぐいの知識、あれこれ 最近、幅広い年代で「手ぬぐい」が人気を集めている。店をのぞくと豆絞り や麻の葉などの定番に混じって、真夏を先取りするような花火や朝顔、ほおず き、金魚など鮮やかな絵柄のものが並ぶ。かつては生活必需品だったが、今で はファッションアイテムやインテリアとして息を吹き返しているようだ。 そもそも手ぬぐいは薄い木綿の染布で、鎌倉時代ころから使われだしたらし い。江戸時代には庶民に普及し、吸湿性が良いので手をぬぐったり風呂で使っ たり、作業時の被りものにする実用品だった。この時代には今のように1本ず つ切って売っていたわけではなく、反物から必要な長さだけを切って売ってい た。まずは庶民の帯となり、次に被りものや手ぬぐい、包帯、鼻緒、最後は雑 巾として使いつぶす、という至って重宝なものだった。 さらに時代が進むと、機能性にデザイン性が加わる。1784年には山東京伝の 妹・黒鳶(くろとび)式部(13)が会頭となり、「手拭合(たなぐいあわせ)」 という手ぬぐいのデザインコンクールが開かれている。京伝はこのときに文人 や絵師、吉原の芸者などから出品された手ぬぐいの作品集まで作っている。ま た、歌舞伎役者が家紋や家印の模様柄を染めた手ぬぐい(7代目市川団十郎の 「かま(鎌)わ(○)ぬ」や3代目尾上菊五郎の「菊五郎格子」など)を贔屓 筋に配ったりするようになり、庶民の垂涎の的となった。こうして江戸では、 きれいに結い上げた髪を粋な模様の手ぬぐいで包むおしゃれが大流行する。 さて、近頃は劇場や美術館、博物館のショップでも手ぬぐいが売られている し、専門店では額装した美しい作品が並んでいる。あれこれと選ぶのも楽しい ものだ。ジーンズの後ろポケットに柄を見せて入れる、ランチョンマットにす る、風呂敷のようにワインを包んでプレゼントしたりと手ぬぐいの使い方はア イデア次第。汗拭きとしても大活躍する手ぬぐいを、この夏使ってみては。 |
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