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■「梅雨アナゴ」は旨いアナゴの代名詞 今月5日に早ばやと梅雨入りした沖縄地方から梅雨前線が北上している。東 北北部が梅雨明けする7月末ごろまでうっとうしい空模様が続く。日照不足で 野菜が値上がりしたり食中毒が増えるなどこの時季は嫌われがちだが、すし種 や蒲焼き、天ぷらにされるアナゴは程よく脂がのって1年中で最もおいしい時 期を迎える。アナゴ科のなかでもマアナゴは特に美味だといわれている。 高タンパクで生活習慣病の改善に効果のあるEPA、DHAも豊富なうえに、目の 働きを助けて皮膚や粘膜を正常に保つビタミンA(レチノールとして含有)は 一般の魚の100倍近くも含むという滋養のあるアナゴ。がん予防効果もあると されているが、免疫力を高めて喉や気管を保護するので夏風邪を予防する働き がある。蒸し暑くなったり気温が低くなったりする梅雨特有の不安定な気候で の健康管理には格好の「旬のクスリ」ということになる。 ところでアナゴ(穴子)の名前の由来は、昼間は海底の砂泥や岩穴などに潜 り込んでいるから。暗くて狭い場所が大好きなこのアナゴはミステリアスな魚 だ。産卵時期も産卵場所も不明なことに加えて、透明で柳の葉っぱのような形 をした仔魚(しぎょ)のエサも明確にはわかっていない(マアナゴだけは、プ ランクトンのフンやプランクトンが脱皮したゼラチン状の殻が餌だと判明)。 さらに仔魚が栄養を蓄えてアナゴの形に変態すると、仔魚時の6割ほどに体が 縮んでしまうというおまけまで付いている。 さて、謎の多いアナゴだがふっくらと身の厚みが増す梅雨時にこそ素材の味 を生かして頂きたいものだ。ウナギのように脂が強くないので料理法は数々あ るが、じめじめした時季にはさっぱりとした白焼きをおすすめしたい。夏に出 回るやわらかな口当たりの生酒とも絶妙の相性だ。 またアナゴはおおむね全国で獲れるので、地元産のアナゴを使った名物駅弁 や空弁(空港で売っている弁当)が多い。出張や旅行の際には、ご当地アナゴ 弁当を味わって旅の疲れを吹き飛ばすのもいい。 |
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