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60キャベツは野菜の優等生
61春のイライラはタウリンで解消
62菜の花は食べて良し、見て良し
63第7の栄養素「ポリフェノール」に注目!
64アサリがとれなくなる?
65新茶を味わおう

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アサリがとれなくなる?
 桜開花のニュースが届く頃になると美味しくなるのがアサリだ。これから5
月にかけてが産卵のために身がもっとも太る時期で、まさに今が食べ頃。おま
けに食べる楽しみだけでなく潮干狩りという行楽までついてくる。水がぬるん
だ干潟で潮風に吹かれながら砂を掘るのは愉快なものだ(収穫が多ければなお
さら)。

 さて、アサリは汁の実や酒蒸しで潮の香りを、佃煮やかき揚げで旨みや甘み
を味わえる、日本人には馴染み深い貝だ。ビタミンB12、ビタミンB2、カルシ
ウム、鉄が豊富で、貧血や肝臓病、動脈硬化の予防には最適な食材でもある。
佃煮にすると水分が抜けて鉄分が生の3倍ほどになるので、妊娠中の人にはと
くにお勧めしたい(塩分の取りすぎには注意が必要)。また、酒蒸しにレモンを
絞るとビタミンCの働きで鉄分の吸収が良くなるので造血効果が一層高まる。

 ところで、貝塚から出土するほど古くから食べられていたアサリだが、ここ
20年ほど日本各地のアサリの漁獲量は減る一方なのだ。とくに有明海、瀬戸内
海、東京湾が深刻だという。かつて日本の内湾では12万トン以上のアサリが獲
れたが1985年ごろ漸減に転じ、今では16万トンもとれたピーク時の4分の1
以下にまで落ち込んでいる。そのため、中国や朝鮮半島から7万トン以上を輸
入して国内需要をまかなっているのが現状だ。

 残念ながら、減少の原因ははっきりしているわけではない。今のところ、干
潟の埋め立て、汚染排水の流入、浅場に押し寄せている酸欠の海水(貧酸素水
塊)、環境ホルモンなどの化学物質の影響であると見られている。
 アサリは春の味覚として食卓を豊かにするだけでなく、干潟を浄化する働き
ももっている。アサリの減少に歯止めがかかることを期待したいものだ。