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■小正月には無病息災を祈って小豆粥を! ★年が明けたと思ったら、15日には小正月がやってくる。餅玉や繭玉を飾っ て、小豆粥を食べる風習は今も全国各地に残っている。筆者の故郷では14日の 夜に小豆粥を作り、日にちが変わった真夜中に食べるというのが決まりだっ た。そこで、小正月に欠かせない小豆の働きを紹介しよう。 平安時代にはすでに、小正月行事で貴族たちは小豆粥が食べていたという。 赤い色の小豆には邪気を払う力があると考えられており、無病息災を祈る縁起 物だった。赤は太陽や火などの色で、原始社会から呪術と深いつながりがあっ たことと無関係ではないようだ。小豆粥の風習が庶民にまで広がったのは江戸 時代。それ以降、ずっと受け継がれている伝統の味なのだ。 さて、魔除けになるとされた小豆の赤色は抗酸化力のあるアントシアニン だ。動脈硬化予防や肝機能の改善、血圧上昇の抑制、血栓をできにくくするな どの効果がある。また、細胞の老化を防ぎ、がんの予防に役立つとも考えられ ている。さらに、小豆の外皮に含まれるサポニンにはコレステロールや中性脂 肪を低下させる、利尿作用や便通をよくする働きがある。 栄養成分としては糖質とたんぱく質、ビタミンB1、カリウム、食物繊維が 豊富だ。ビタミンB1は体内で合成できない成分で、疲労回復の効果があるの で働き盛りには欠かせない。さらに、肝臓に負担をかける有害物質を解毒する 働きで二日酔い防止効果が期待できる。昔は冬場に野菜が少なく、ビタミン B1の補給に保存のきく小豆というのは非常に合理的な摂取法だった。経験か ら得た食の知恵が、小豆粥を今に伝えているのかもしれない。 ところで、小豆は欧米では「AZUKI」と呼ばれて人気が出ている。アメリカ 農務省がコレステロールや中性脂肪、過酸化脂質の生成を抑えて動脈硬化を予 防する食品だと発表したから。今ではサラダやスープに入れるのはかなりポピ ュラーな食べ方になった。おまけに、欧米では常識破りの豆を甘く煮る料理法 も、小豆の入った和菓子や大判焼きも受け入れられている。 小正月には無病息災を祈ってご家族と小豆粥を召し上がってはいかがだろう か。時にはこんな縁起担ぎも悪くない。 |
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